サンプル小説、「護衛刀 対 魔剣」「まあ、鉄心さんったら。くすくす」「いやあ。アイシャさんが美人だからですよ」 日差しも晴々とした昼間。鉄心と美女は馬車に揺られていた。馬車を引くのは従者。馬車は何の変哲もない普遍的な馬車だ。豪奢な馬車もあったが、それでは盗賊にいかにも襲ってくださいと言わんばかりの風貌だろう。和やかに談笑する柊鉄心と美女。鉄心はこの世の外から現れた旅人(ウォーカー)だ。元の世界では主に護衛任務を任されていて、こちらの混沌(ケイオス)でも同じく護衛を任された。今回の任務はこの美女──アイシャを守り切ること。「でも……鉄心さんが優しそうなかたでよかった……」 そう言うアイシャは怯えているようだった。「……」 鉄心の目にもアイシャが恐れていることが伝わって...12Sep2020小説サンプル